「で、初めて会った時なんだけど……」
「うん」
「玲花さ、入学式の後、あの裏庭で空を見上げていなかった?」
式が終わってから……。
確か――。
偶然通ったあの裏庭で、桜の木に目が奪われて立ち止まっていた……。
「うん、見上げてた! 慎司見てたの?」
「ん……隣を通ったんだよ。俺の周りをついてくる数人の女とな」
あ〜っ、いたいた……って、
「あれって慎司!?」
「やっぱ、気付いてなかったんだな」
少しずつ蘇る記憶を辿っていく。
あの時、うるさい集団が私の横を通り過ぎようとして……その中の一人がぶつかってきたんだ。
その女は謝るどころか「どこ見てんのよ!」なんて罵声を上げるものだから、
「あなたがぶつかってきたのに、その言い草はないんじゃない?」って私は冷ややかに言葉を放ったんだ。
「悪いのはこっちだったし、俺が“大丈夫?”って声かけるとさ、何て言ったか覚えてる?」
「あー……。“大丈夫です。だけどあなたは何もしていないんだから、謝る必要はないです”って言ったっけ」
「そうそう」
ククッと笑いを堪えながら話す慎司を見つめる。
自分が気付いていなかった時に慎司とそんなことがあっただなんて……
何だか恥ずかしい。
「随分物事をはっきり言う女だな、なんて思っていたらクラスにいるし」
「はぁ……」
「しかも俺のことまったく覚えてなかったじゃん」
「アハハッ……。興味なかったしね」
何だか申し訳ない気持ちになってくる。
あの後すぐにクラスで慎司に会ったはずなのに、覚えていないなんて。
失礼なことだよね……。
「まぁ、俺はそんなとこに興味わいてね。友達になりたいって思ったんだ」
「うん」
「玲花さ、入学式の後、あの裏庭で空を見上げていなかった?」
式が終わってから……。
確か――。
偶然通ったあの裏庭で、桜の木に目が奪われて立ち止まっていた……。
「うん、見上げてた! 慎司見てたの?」
「ん……隣を通ったんだよ。俺の周りをついてくる数人の女とな」
あ〜っ、いたいた……って、
「あれって慎司!?」
「やっぱ、気付いてなかったんだな」
少しずつ蘇る記憶を辿っていく。
あの時、うるさい集団が私の横を通り過ぎようとして……その中の一人がぶつかってきたんだ。
その女は謝るどころか「どこ見てんのよ!」なんて罵声を上げるものだから、
「あなたがぶつかってきたのに、その言い草はないんじゃない?」って私は冷ややかに言葉を放ったんだ。
「悪いのはこっちだったし、俺が“大丈夫?”って声かけるとさ、何て言ったか覚えてる?」
「あー……。“大丈夫です。だけどあなたは何もしていないんだから、謝る必要はないです”って言ったっけ」
「そうそう」
ククッと笑いを堪えながら話す慎司を見つめる。
自分が気付いていなかった時に慎司とそんなことがあっただなんて……
何だか恥ずかしい。
「随分物事をはっきり言う女だな、なんて思っていたらクラスにいるし」
「はぁ……」
「しかも俺のことまったく覚えてなかったじゃん」
「アハハッ……。興味なかったしね」
何だか申し訳ない気持ちになってくる。
あの後すぐにクラスで慎司に会ったはずなのに、覚えていないなんて。
失礼なことだよね……。
「まぁ、俺はそんなとこに興味わいてね。友達になりたいって思ったんだ」

