「あっぁあああ!!!」



教室に響く少女の叫び声、周りの子たちは何事かと叫んだ少女を見やった



「…び、びっくりしたぁ……
もぉ!急に大きな声出さないでよ!!」



前に座っていた黒髪ショートカットの美貴は叫んだ少女の頭を軽くはたいた




「あいたっ!
ぬううう、だってぇ…だってええ!!」



叩かれた本人は目をウルウルと潤ませ、美貴を見上げながら



「今日、綺音(あやね)さんのお弁当だったのに家に忘れちゃったんだもん!!」



それを聞いた途端、美貴は はあ?っと呆れた顔をして、再び ぱたんと頭を叩いた



「ううっ あいた!
もう、そんなぱかぱか叩いたらまたバカになっちゃうよ!」


「なぁに言ってんのよ、アンタはもう既に手遅れのバカよ」


しれっと言ってのける美貴に そんなことないもん! と口だけの反論しつつ本当に残念そうに椅子に座りなおした



周りの子たちも 林檎のいつものペースだな、とわさわさと雑談を再開しだした



「ううっ…綺音さんのお弁当がぁ……」


「まー…確かに綺音さんのお弁当食べられないのはショックよね。
ほんとーーっに美味しいし、栄養考えて作ってくれてるし、しかもいっつも偏ったものした食べられない林檎でもちゃーんと全部食べられちゃうように工夫して作ってくれてるもんね。」



ずらずらーっと喋った美貴に 美貴何気に酷いことさらっと言うよね と返す林檎