朝の6時。嵐はいつも通りの時間に起きてパチンコ屋に行く準備をする。



基本的に嵐の朝は早い。

朝6時に布団から出るが、その一時間前の5時には目覚めている。


もちろん寝るのも夜の10時と早い。


若い子には珍しく規則正しい生活習慣である。




嵐は買い置きしていたパンを食べて、家を出る。



今日はいつもより早く家を出た。

なんだか胸騒ぎがするのだ。

昨日のチンチロの事でおっちゃんに何かされるのではないか?


いまになってそれに恐怖してしまった。




パチンコ屋に並ぶ前に嵐はアパートの近くにある神社に寄った。


人のいない古びた神社。神主さんはたまにしか見掛けないほどの寂れた神社である。


嵐は普段からこの寂れたによく行く。

この神社にいると心が落ち着くのだ。




しかし、今日は珍しく神社に人がいる。


(アレは巫女さんかな?)


気になった嵐は巫女さんに近付いていった。




そんな嵐に気付いた巫女さんは嵐に言う。


「おはようございます。貴方がここに来るのを待っていました。」


嵐は「えっ?」と驚く。


「貴方はこの現実世界を窮屈に感じていますね?そんな貴方を見ていると私は辛いです。」


巫女さんはなぜか涙を流す。


嵐も「はぁ…」としか言えないでいる。



「私はそんな貴方に相応しい世界へご招待しに来ました。さぁ、貴方の持ち味を思う存分出せる世界に行きましょう。」



嵐はいきなりの事で頭が混乱した。


(なんだこの展開…。確かにこの世界にうんざりしているけど…。)


そんな嵐を見て巫女は手を差し出した。


嵐は何となく、それに手を出した。



二人の手が交わった瞬間である。

急に嵐と巫女さんの周りが光輝き始めた。


「なんだ!これ?」

動揺する嵐に巫女は言う。


「心配しなくて宜しいです。貴方の理想の世界に連れていってあげます。」



そう言うと二人は光に包まれて天に登って行った。