家を出て歩いてた時
花弁が1枚目の前を飛んでいった。
「桜か…」
たいして桜なんて興味なかったが、
なんとなく花弁が飛んできた方を見た。
すると、そこには見慣れた桜の木。
そして、女がいた。
その女は一人で桜の木の下で
ずっと桜を見つめていたんだ。
「綺麗だ…」
思わず一言が漏れる。
染めてないであろう綺麗な茶髪。
そしてなにより
桜を見上げている横顔があまりにも
綺麗すぎて、
見とれてしまった。
桜なんてどれも同じだろ?
でも、なぜか女が立っている
その桜の木は綺麗に見えたんだ。
「なぁ、」
思わず声をかけると
その綺麗な横顔がこちらを振り向いた。
だが、その女はスタスタと歩いていった。
少し残念に思いながらも
やっぱり綺麗だったと思えたんだ。