「…お前の名前」 「…え。」 無言の空気に耐えられなくなったのか、芹沢くんが口を開く。 「名前、憶えとく」 「あ、ありがとう」 名前を憶えることなんて簡単でありそれはクラスメイトであったら当たり前のことではないのかと思ったが、お礼を言っておいた。 「…ここか」 「みたいですね」 エレベーターに乗って5階へ向かい降り歩いている最中も私の腕を引っ張る手は離されなかった。 …逃げるとでも思っているのだろうか。 ここまで来ておいて。