ー翌日ー

何時ものごとく、中庭で昼飯を食べようと中庭へ行ってみると結城がベンチに座っていて、膝には弁当箱横には水筒があるのに全く手を付けないで何か考え事をしている様だった。

「結城、どうした?悩みか?」近付いて聞いてみると

「あ、先生。こんにちは。…はい。実は昨日、家に加害者のご家族が見えたんです。…だけどわたしは自分にとって不愉快な事を言われる様な気がして、会うことを避けてしまったんです。…その事が気になって…。」そうか…。

「それは仕方無い事じゃないか?結城は怖い目にあったばかりで『すみませんでした。』と相手側は言えば気が済むかも知れないけれど、それで結城自身が許せるかとかは別問題だし、結城が『怖い』って感じたのは俺だって分かる。…結城は相手に優しすぎて、自分がどう思ってるのか、とかを押し殺してるんだな。…たまには素直になった方が良いと思うぞ。」前に聞いた出来すぎた親戚。それに親同士が仲が良いから何も言えなくなってしまってる。

「先生。ありがとうございます。…では次の授業の支度があるので失礼します。」と校舎に向かう結城。……腕時計を見ると予鈴10分前。

急いで昼飯を腹の中に納めて授業の準備の為に校舎の中へ向かった俺だった。