そうなると、なぜか急に、こんな俺でもキャーキャー言われ始める。

わかりやすいって言うか、なんつーか、そんなんだから、この段階では、まだ女なんて面倒くさいと思っていた。


でも、そんな日々の中、新しい親父がついに同居することになり、何となく家に帰るのが嫌になった。

別に新しい親父が嫌いな訳じゃないけど、こいつは親父の生前、俺にサッカーを教えてくれていた人だ。

どっか納得が行かないし、複雑過ぎて、自分で自分の気持ちもよくわからない。

向こうは昔の感覚でいろいろ話しかけて来るけど、上手くあしらうことができなくて、家にいる時間は最小限に済ますようになって行った。


そんな俺の様子に気付いてくれた子がいた。

家に帰らず、ハンバーガーショップで宿題をしていた俺を、たまたまバイト帰りのその子が見つけたのだ。

同じクラスの明るくて可愛い子で、何度かそうして外で顔を合わすうち、彼女は俺を心配して、時々、夜食に弁当を作ってくれるようになった。


誰かに優しくしてもらうことを、心の中で望んでいたのかもしれない。

一緒にいると、心が柔らかくなって行くような気がして、すぐに彼女のことを好きになった。

そして、もっと一緒にいたいと思い始めたころ、タイミング良く彼女の方から告白をされた。


初めてできた彼女に、有頂天だった。

できる限り、彼女のわがままを聞いて、一生懸命尽くした。

学校に行くのが楽しくなって、家にいる時間も、前よりは辛さを感じなくなった。

久しぶりに、毎日が幸せだと思った。