でも、何故か、引き続き、私だけは嫌われた。

ミスの有無に関わらず、お客様への対応時の説明がわかりにくいだの、感情がこもってないだの、毎日のように言い掛かりみたいなお説教が続いた。

そこまでイジメられる理由もわからなければ、どんなポイントで攻撃を仕掛けられるかもわからない。

何をしても、彼女の機嫌を損ねるから、会社に行くのがだんだん憂鬱になって行った。


本宮くんに相談しても、いつも生返事ばかり。

優しく慰めてくれるところまでは良いんだけど、具体的な改善策を考えるでも、守ろうとしてくれるでもない。

彼の方が上司なのに、野田さんに注意する気配すらない。


この人って、私のこと、本当に心配してるのかな.......

いくら何でも、疑問に思うようになった。

だけど、その時はまだ愛されているつもりでいたから、それを聞くのは何となく怖かった。


本宮くんへの不信感が募って行く中、ある日、私はまた彼女に呼び出された。

いつもと同じ、くだらない言い掛かりのために。

そして、次第にエスカレートして行く彼女の攻撃に、ついに堪忍袋の緒が切れた。

私ではなく、それを見ていた同僚の緒が。


「本宮SV、小坂さん、何か、悪いことしました? してないですよね? 毎日、毎日、リーダーに攻め立てられてるのを見て、SVは何とも思わないんですか?」

「えっ、いや、それはさ........。」


ほら、ボケっとしてるから言われちゃったじゃん。

立場上は上司なんだから、そう思われても仕方ないよ。


「ねぇ、文句あるなら、私に直接言えば?」

「でも.......。」

「困らせちゃ、かわいそうじゃない。ヒロ君に罪はないでしょ?」

「へ?.......はぁぁぁ!?」