元カレである本宮くんとは、上手く行っていた。

元宮くんは、私の働いていたコールセンターの数少ない男性社員。

女性ばかりで編成されたオペレーターのグループを、いくつか取りまとめる仕事をしていた。


ちょっぴり頼りなくて優柔不断なところもあるけれど、いつもニコニコしている優しい本宮くんが、私は好きだった。

同じ年だから気が楽だし、話も合った。

このまま彼と結婚して、穏やかな家庭が築けるといいなって、当時は本気で思っていた。


そこへ横槍を入れてきたのが、私のグループのリーダーとして赴任した野田さんだ。

野田さんは仕事はできるけど、性格に問題があった。

ベテラン契約社員の自分よりも、経験の浅い上司で正社員である本宮くんに、赴任当初は、いちいち文句ばかり言っていた。


もちろん、本宮くんにだけではない。

自分のグループのみならず、ひどい時は隣のグループのリーダーにまで、その被害は及んだ。

少しのミスを厳しく追及する彼女のおかげで、明るかったオフィスの雰囲気は、日に日に悪くなって行った。


なのに、ある日を境に、彼女の態度が変わり始めた。

「誰にでもミスはあると思うわ」的な発言が出て来るようになり、あろうことか、後輩たちに優しく丁寧にアドバイスまでし始めた。


こんなことって、あり得るだろうか。

急に人が変わったみたい。

あまりの豹変ぶりに、どう接したら良いものか、こっちが戸惑ってしまうレベルの大変身だ。