今しかない、この瞬間を

内容といい、喋り方といい、確かにチャラい。

だけど、この声は間違いなく、昨日、私を助けてくれた王子様の声。


なんで? 何か違くない?

それともこっちが普段の感じなの?


ちょっぴり緊張しながら、声のする方向に目をやると、キャピキャピした感じの女の子と一緒に入って来た彼の髪の色は、昨日よりもだいぶ明るくなっていた。

プロフィールのホストみたいな写真よりはさすがに控えめだけど、昨日は黒髪に近い感じのブラウンだったはず。

これはこれで似合っているものの、とにかく印象がだいぶ違っちゃってるから、違和感を感じる。


「ちーっす。」

「お、おはようございます。」

「昨日、帰りは大丈夫だった?」

「あ、はい。昨日は本当にありがとうございました。」


加納さんと、ここの従業員であるらしいキャピキャピちゃんが、ポカンとした顔で見ている。

そりゃ、そうだよね。

二人とも「どこで会ったの?」って、思い切り顔に書いてある。


「てか、何で敬語?」

「だって、昨日は年上だって知らなかったから。」

「あ、そうなの? 俺のほうが年上?」

「そう。一個だけ。」

「なら、いいよ。タメ語で。てか、名前も聞いてなかったよね。名札、見して。」

「あ、はい。」


興味津々の様子で名札をのぞき込む童顔は、まさしく私を助けてくれた王子様だ。

髪の色が変わって、ますます若くなっちゃったけど、昨日の彼に間違いない。


「あかねちゃんていうんだ。可愛い名前だね。俺の名前、知ってる?」

「上山光汰さん.......?」

「おっ、もう知ってんじゃん。どっかで見た?」

「はい。掲示板のコーチ紹介で。」

「なるほど。」