今しかない、この瞬間を

しかし、人に言われるまで気が付かないなんて、鈍感にもほどがある。

前々から、一緒にいると安心するし、気を使わなくて済む楽な奴だとは思っていたけど、それが俺の中では、直接、恋愛感情に結び付いていなかった。

まったくこの年になって、何やってるんだか。

俺はアホなのか?


今、考えれば、他の男と遊びに行くのが何となく面白くないと思ったのも、気のせいじゃなかったんだ。

不安そうにしてると抱きしめたくなったり、守ってやりたくなるのも、多分、同じこと。

こんなシンプル発想が、どうしてできなかったんだろう。

何か、自分に腹が立つ。


朱美さんという心の拠り所を持つことに満足して、他の女の子に目が行かなくなっていたのは確かだ。

自分が恋愛を上手にできるタイプじゃないことも、誰と付き合おうが長続きしないことも、そのせいで今一つ、恋だの愛だのに熱くなれないのだって、全部わかってる。


だけど、今まで付き合った女の子に、こういう感情を持ったことはなかった。

自分からアプローチして、大切に守ろうと思ったことも。


もちろん、身近な女の子にいつの間にか心の中に入り込まれたこともなければ、ここまで気を許したこともない。

知らず知らずのうちに、そばにいる子がこんなに気になる存在になってしまっていたことも初めてだ。


いつも俺のそばにいて、明るく楽しい気持ちをくれる。

困った時にはしっかり支えてくれるし、俺を気使ってくれる。

かと思えば、弱い一面もさらけ出すし、甘えた顔も素直に見せる.......


そんなあいつを放っておけないと思うのは、好きだからじゃないのか?

守ってやるとか何とか言って、本当は他の男にやりたくないだけじゃないか。


気付いたんなら、認めるべきだろう。

俺はきっと、あいつのことが好きなんだ。