今しかない、この瞬間を

「光汰、前に『永遠に続く幸せなんてない』って言ってたでしょ?」

「うん。」

「私も、前はそう思ってた。」

「前は.......?」

「寂しくて、辛くて、思い通りに上手く子育てもできなくて、自分だけが不幸なんだって思ってた。」

「.......。」

「でも、今は違うの。今は彼がいなくても幸せだって思える。陽成が成長して行くのが何より楽しみだし、光汰に出会えて前向きな気持ちになれた。周りの人に助けてもらって、いろんなちっちゃい幸せが積み重なって、おかげで今の幸せがあるんだなって、心から感じてるの。」

「.......。」

「同じ幸せが永遠に続くことはないけど、そこに別の幸せが重なって新しい幸せが生まれて行くんだよ。そのためには、自分が変わらなくちゃいけないけど。」

「.......。」

「そうすれば、きっと、どんどん新しい幸せが生まれて行く。何度も生まれ変わりながら、ずっとずっと続いて行くの。続けて行くためにはもちろん、自分が頑張らなくちゃいけないけど、今の光汰ならできるよね?」

「朱美さん.......。」

「光汰には幸せになってほしい。今まで辛い思いをした分、たくさん笑っていられるようになってほしいの。」

「それはわかるけど.......。」

「だから、チャンスを逃さないで。」

「え?」

「今しかないこのタイミングを逃してたら、きっと後悔することになると思うの。」

「何の.......?」

「彼女の好きな人、ホントは知ってるんでしょ?」

「へっ? え?あいつの?」

「そう。よ~く考えてみて。それから、もう一度、自分の胸にも聞いてみて。幸せは待っててくれないよ。」

「.......。」

「大丈夫。頑張って。素直になれば、きっと幸せになれるから。」

「.......。」