今しかない、この瞬間を

1時過ぎ、戻って来た加納さんと入れ替えで、お昼の休憩に入った。

いい気分で休憩室に行き、お弁当をテーブルに置くと、コンビニの袋をぶら下げた田澤さんが、こっちに向かって歩いて来るのが見えた。


「あかねちゃん、お昼、今から?」

「はい。」

「じゃ、一緒にいい?」

「もちろん。」


田澤さんは今日も見事に爽やかだ。

大人だし、とても落ち着いているのに、時折、面白い失敗談なんかも挟んで来るし、その時に見せる目が無くなっちゃいそうな可愛い笑顔が、何とも乙女心をくすぐる。

画に描いたようなイケメンって、きっとこういう人を指すんだろうな.......


「相変わらず、光汰と仲良いみたいだね。」

「あぁ、はい。何だかんだ言って、一緒にいる時間が長いんで、お互い、どんどん遠慮がなくなって来てます。」

「そうなんだ。いいなぁ、そういうの、ちょっと羨ましい。」

「そうですか?」

「うん。俺があいつの代わりに、あそこに住みたいくらい。」

「ホントに?」

「うん。マジで。」

「え、でも、私と仲良くなったって、何にも得になることなんてありませんよ。」

「そんなことないよ。あかねちゃん、見てると、何か明るい気持ちになって来る。その優しくて柔らかい感じの話し方も好きだし。」

「そう、ですか?」


ニコニコしながら、そんなこと言われたら照れちゃうじゃん。

何だかわからないけど、今日はいい日だな。


「ねぇ、光汰とは仲がいいだけで、付き合っては、いないんだよね?」

「え? あぁ、はい。」

「じゃあ、今晩、誘ってもいい?」

「.......え?」

「うちの系列グループのレストランの招待券があるんだけど、良かったら一緒に行かない?」

「.......あ、はい。」