今しかない、この瞬間を

「一緒にいられたとしても、お互い、同じ気持ちをずっと持ち続けて行くって、結構大変だろ? だから、相手に自分の幸せを強要しようとは思わない。」

「.......。」

「なんて言うと、ちょっとカッコイイけど、要は恋愛が下手なんだろうな。裏切られるのに慣れちゃって、熱くなり切れないっていうのもあるんだろうけど。」

「え?」


ってことは、朱美さんのことだけを言ってる訳じゃないのかな。

何か、過去に嫌な思い出でもあるとか?


「もうこの話はやめよう。こんな暗い話聞いてても、つまんねーだろ?」

「ううん、全然。」

「マジ?」

「うん。」

「とにかくさ、俺、多分、人より恋愛に対する期待が薄いんだよ。ある日、突然、『絶対にこいつだ』っていう相手が現れたりでもしない限り、ずっとLOWなままなんじゃん。」

「ふ~ん.......。」


確かに、朱美さんといる時だって、「好き」ってより「ホッとしてる」っていうイメージの方が強いかも。

毅くんみたいに、みなぎるような「大好き」オーラを、彼が発していたことはない。


だとしたら、朱美さんが言ってた「寂しい時に傷を埋め合う」関係の意味も、少しはわかる気がする。

愛してはいないのに、離れたくない訳も。


普段はチャラくて、ひたすら明るいけど、素顔の彼は優しくて、とても温かい。

幸せを上手く手に入れられなかった朱美さんに、寄りそっている姿は容易に想像できる。


だけど、私にだって、何度もその優しさをくれたじゃない?

朱美さんじゃなくちゃいけない理由は何なの?

彼のどこを温めてあげれば、私は朱美さんの代わりになれるのかな.......