今しかない、この瞬間を

この後、どういう方向に進んで行くのかはまだわからない。

でも、朱美さんの言葉を信じるなら、近いうち、彼に必ず試練はやって来る。


その時、私はどうしたら彼の痛みを和らげてあげられるんだろう。

彼が私にしてくれるみたいに、温めてあげられるんだろう.......


里菜ちゃんと毅くんを駅まで送った帰り道、酔いの回った頭でボ~っと考えていた。

一緒にいると楽だとは言ってくれたけど、つまりは彼にとって、どんな存在なの?

それがよくわからないから、どこまで気持ちをさらけだしていいのか、いつも悩む。


「好き」って言えないまま、そばに居続けるのは、精神的にも堪える。

なのに、彼が突然、ドキッとするような質問を振って来た。


「お前さぁ、この前、好きな人いるって言ってたじゃん?」

「え? あ、そうだっけ?」


言ってないってば。

態度に出てたのは認めるけど、勝手に自分がそういうことにしちゃったんでしょ!!

それに、そんなの聞いても、何の得にもならないじゃん。


「俺の知ってる人?」

「へっ?」

「おもしれ~。わかっりやすい奴。もしかして、淵江コーチとか?」

「違うよ。」

「じゃ、誰? 森野コーチ?」

「違う。てか、言う訳ないじゃん。」

「何だよ。あいつらじゃないのか。この前、誘われて楽しそうにしてたから、てっきりそうだと思ってた。」

「はぁ?」

「そうだったら、協力してやろうと思ってたのに。」

「結構です。」


もう信じらんない!!

いきなり、何言ってんだか。


でも、やっぱり、ちょっとは嫉妬してくれてたのかな。

これは喜んでいいことなんだよね?