殺戮都市~バベル~

「あれ?どうしたんですか名鳥さん。ここにするんですか?」


そこは、小さな建物で、「BAR」という看板が出ている事で、辛うじてどんな店か想像出来る。


「そうだな……酒も呑めるかもしれねえし、ここにするか。迷ってても仕方ないっしょ」


……どんな建物に入るか、指定したのは名鳥だろうに。


どうも酒を呑みたいだけのような印象を受けてしまうんだよな。


「い、いいね。呑もうぜ呑もうぜ」


いや、神谷。


お前はフラフラなんだから大人しくしてろ。


そんな状態で呑んで大丈夫なわけがないだろ。


と、心の中で思いはしたものの、俺も早く恵梨香さんを休ませたいし、断る事が出来なかった。


「ま、まあ良いですけど。でも、あんまり呑みすぎないでくださいよ?ここは北軍なんですから」


念の為に名鳥に釘を刺して、俺はその店のドアを開けた。


暗い店内を、壁の間接照明がぼんやりと照らし出すその空間は、俺にとっては始めて体験する異世界。


大人の雰囲気漂うこの店に、休む為とは言え、入ったのは場違いだったかなとちょっと不安になる。


「お、良い雰囲気の店じゃないの。まあ、酒はコンビニに買い行かなきゃならないとしても、こういう雰囲気が良いんだよな」


店に入った名鳥の声が弾む。