殺戮都市~バベル~

桜良に切られた太腿は、大した怪我じゃない。


足はいつも通り動く。


地面を踏み締め、足の感覚を確かめた俺は、日本刀を引き抜き、名鳥の後を追って走り出した。


「お、おい!坊主!お前もクレイジーかよ!」


背後から神谷の声が聞こえたけど、俺が足を止める事はない。


「名鳥さん、俺もやります!」


槍を構える名鳥の隣で日本刀を構え、眼前に迫るルークを見上げた。


「バカかお前は!調査だっつってんだろ!万が一、お前が死ぬ事になったら、明ちゃんが悲しむだろうが!良いから退いてろ!」


隣に来た俺を見て、怒鳴りつけるように声を上げた名鳥。


この人、いつもそうだけど、狩野が喜ぶとか悲しむとか、自分の事じゃなくて狩野を最優先に考えてるんだよな。


だけど、それが名鳥にとって一番大事な物で、きっと何があっても絶対に揺るがない信念なんだろう。


「だったら、名鳥さんこそ死なないでくださいよ。名鳥さんが死んだら、狩野はもっと悲しみますからね」


俺の言葉に、名鳥は驚いたような表情を浮かべた。


「なかなか言うじゃないの。だったら、どっちも死ぬわけにはいかないよねぇ」


ルークが迫る中、俺と名鳥は武器を構えて、その攻撃に備えた。