殺戮都市~バベル~

人混みを利用して攻撃を仕掛けてくる……。


その顔は桜良の物で、俺がこいつを攻撃する直後を狙っていたんだと、ここで気付いた。


「くっ!」


慌てて刃を返して、桜良に斬り付けようとしたけど……。


「遅い遅い!」


桜良は、男の下半身の陰から飛び出して、俺の太腿を斬り付けて再び人混みに消えたのだ。


振り下ろされた日本刀が、虚しく男の下半身を切断する。


目で桜良を追おうとしたけど、すでに人混みに紛れてどこにいるかがわからない。


怪我は……大した事はないものの、次はどこから来るのかわからないという不安を刻むには十分な物だった。


「な、なんだ今のは!」


次の攻撃の機会を与えてはいけない。


そう考えた俺は、日本刀を横に振りながらその場で一回転。


容易に踏み込める位置に、桜良を近付かせてはならないと、周囲にいる北軍の人間を斬り捨てた。


そんな中で、恵梨香さんが「うっ!」と声を上げる。


俺じゃなく、恵梨香さんの方に行ったのか!?


さらには名鳥まで「あいたっ!」と、不意打ちを食らったような声を上げた。


この人混みの中を、容易く自在に駆け回り、隙を突いて攻撃する桜良。


だが、不自然に思うのはこの傷だった。