殺戮都市~バベル~

その体勢のままでジッと俺を見て、何か言葉を待ってるのだろうか。


その透き通った目が、潤んだ目が、俺の心臓の動きを早くする。


「あ、あの……恵梨香さん?」


「一つだけ、私の頼みを聞いてくれないか?」


こんな状況で、一体何を……。


今度は俺がパニック状態。


胸元まで開いた、ライダースーツのジッパー。


そこから見える、大きな胸の谷間が、恵梨香さんが動くたびにプルンと揺れる。


「な、な、何ですか」


部屋の壁に背中を付け、これ以上下がれないのに、恵梨香さんの妙な迫力に圧されて気持ちだけは下がる。


そして、その艶やかな口が開かれた。








「……もしも、バベルの塔を攻略して、この街から出る事が出来たら、少年は私の友達でいてくれるか?」








真剣な眼差し、だけど不安そうな表情を俺に向ける。


なんだ、そんな事かと、少し安心して俺は恵梨香さんに笑顔を向けた。


「何言ってるんですか。この街にいても、元の世界に戻っても、ずっと友達ですよ。命を賭けて一緒に戦った仲間なんですから、一生忘れられませんよね」


そう……答えた瞬間、恵梨香さんが俺の首に手を回し、身体を引き寄せると、ギュッと抱き締めたのだ。


言葉はない。


強く、でも優しく抱き締められて……俺は妙に安心した。












「いや、それだけかよ!!」









その光景をドアの隙間から見ていたのであろう、名鳥の声が部屋に響き渡ったけれども。