殺戮都市~バベル~

あの状況で、そんな事まで考えて行動出来るわけがないのに。


明美さんはどうして俺にこんなに突っかかって来るんだろう。


「まあまあ、真治君は奈央と明美さんを助けようとしたんだから。そうでなければ、二人は確実に殺されていたんだよ?」


「でも私は死んだの!新崎さんは逃げ出して、助けてもくれなかったもんね!」


話せば話すほど、明美さんの怒りが膨らんで行く。


これはダメだと感じたのか、新崎さんは俺が持っていた弁当を奪い取り、それを明美さんの前にあるテーブルの上に置いた。


「あ、明美さん、お腹が空いただろ?ほら、これを食べて!俺と真治君は買い出しに行って来るからさ」


「し、新崎さん、それ俺の……」


俺がそう言っても、なんとか明美さんの機嫌を取ろうと、俺に向かって小刻みに首を横に振る。


そして、この場から逃げようと、俺の背中を押して部屋から出たのだ。


廊下に出て、ハァッと、大きな溜め息を吐いた。


「やれやれ……奈央もそうだけど、女性がヒステリックに怒り始めたら逃げるに限る」


「新崎さん……結構大変なんですね」


まだ皆を詳しく知っているわけじゃないけど、新崎さんの苦労が少しだけ見えたような気がした。