殺戮都市~バベル~

「ななななな、なんだよありゃあ!なんなんだよ!」


思いもしなかった突然の化け物の襲来に、走る神谷が混乱している。


いや、神谷だけじゃなく、俺も恵梨香さんもそうだ。


「俺が知るかよ!!わかってるのは、あれが『ルーク』じゃないかって事だけだよ!」


「ル、ルークだぁ!?なんだよそれ、チェスじゃあるまいし!!」


それこそ俺が知るかよ!


この街に来て、キングとポーンがいる事を知って、そこからナイトが現れたからチェスだなとは思ったけど。


「くそっ!どこに隠れれば良いんだ!あんなのが暴れたら、ビルはひとたまりもないぞ!」


ここは北軍で、下手にビルに入って敵と遭遇してしまったら……なんて考えている場合じゃないのだろう。


あの恵梨香さんに、余裕が感じられない。


「お、お前ら付いて来い!俺のアジトが地下にある!最悪出口を塞がれても、俺なら何とか出来るかもしれねぇ!!」


一緒に走っている神谷が、何を考えているのか自分のアジトに逃げろと言ってきた。


これは罠なのか、それとも本当に助けようとしてくれているのか。


なんて、疑っている余裕なんて全くない!


ルークの動きは遅く見えるけど、歩幅が広くて、気を抜いていたらあっという間に追い付かれるのだから。