殺戮都市~バベル~

「おい!そいつを捕まえてくれ!!東軍のやつだ!殺すなよ!」


東軍の人間を追い掛けている男が、指差して叫んだ。


敵なのに殺さないのか?


それだったら、人を殺したくないと思っている俺だって出来るかもしれない。


「……捕虜か。あんまりこういう事には手を貸したくないけど、恨みを買うのも嫌だしね」


ボソッと呟いた奈央さん。


それがどういう意味かわからなかったけど、俺は日本刀をイメージして、空間から引き抜いた。


「ど、どけっ!邪魔するな!」


男の表情と声からは、鬼気迫る物を感じるけど……。


歯を返した俺は、接近する男を待ち構えるように日本刀を構えた。


手を縛られていて、武器を取り出せないでいる人に攻撃するのは気が引けるけど。


男が迫るタイミングに合わせて、一歩踏み込んだ俺は、その肩目掛けて日本刀を振り下ろした。


バチッという音が手と耳に伝わり、男は力なく俺に倒れ込んだ。


慌てて男の脇に手を入れて、倒れないように支える。


ふぅ……時代劇なんかでやってる「峰打ち」を見よう見まねでやってみたけど、案外出来るもんだな。


そんな俺を、驚いた様子で見ている奈央さん。


俺、何か驚くような事をしたかな?