殺戮都市~バベル~

奈央さんの墓に向かって、ずっと話しかけている沼沢。


その横で俺は、祈るように目を閉じていた。


この街で埋葬してもらえる人は幸せだと、その通りだなと感じる。


それは、埋葬された人だけじゃなく、埋葬された人を大切に想っていた人も。


洗浄日に流されるわけでも、ポーンに食われるわけでもなく、また会いに来る事が出来るのだから。


もしかするとそれは、生きている人の想いを引きずらせてしまう事にもなりかねないけど。


「同じ軍じゃない人達と、友達のように一緒にいる事が出来る。真治君の姿こそ、理性のある人間のあるべき姿だと思うよ。ただ、戦いたくないからって戦わないだけのわしとはえらい違いだな」


なんか、凄く持ち上げてくれるけど……そんな大したもんじゃないんだよな。


生きる為に必死に戦って、殺し合って、気付いたら、何か大きな流れの中にいただけだ。


「そんな良いものじゃないよ。この沼沢とも殺し合ったし、同じ軍の味方でさえも、分かり合えなくて殺さなきゃいけなかった事もあったし。俺なんてただ、人を殺しているだけだよ」


胸を張って言えるような事を、俺は何もしていないんだよな。