殺戮都市~バベル~

沼沢が絞め上げた鎖によって、ナイトの兜が変形し始めた。


硬い兜が、まるで粘土細工かのようにグニャリと曲がったのだ。



「グルルルルアアアアアッ!!」



今までに聞いた事もない、ナイトの悲鳴にも似た咆哮。


潰れた兜の中で、顔が圧迫されているのだろう。


慌てて手に握り締めていた槍と盾を放し、首の後ろにいる沼沢を掴もうと手を伸ばした。


だけど、沼沢は鎖にぶら下がるように、ナイトの肩から背中へと移動し、その手を回避したのだ。


「掴めるもんなら掴んでみろよ!」


背中を踏み、鎖で引っ張り、ナイトの身体を強引に反らす沼沢。


そのチャンスを、俺は逃さなかった。


ナイトの上半身が反り、さらに防御に使うべき腕が沼沢を掴もうとしていて、前方は完全に隙だらけ。


ここしかない!


駆け寄りながら攻撃姿勢に入った俺は、日本刀を両手で握り締め、右肩に担ぐように構えて身体を捻った。


この構えが、俺の中で一番攻撃に力が入りそうに思えたから。


生半可な攻撃では、かすり傷程度にしかならない事がわかっているから。


全ての力を日本刀に込めるように、一振り。


槍も盾もない、何にも邪魔をされず、俺の攻撃がナイトの腹部に直撃した。