殺戮都市~バベル~

沼沢と共に、店の外に出た俺達は、歩きながら光の壁へと向かっていた。


奈央さんの……と言うことは、南軍に渡らなければならない。


俺と恵梨香さんは、光の壁を通って西軍に入ったから、南軍に戻るのは簡単だけど……沼沢はそういうわけにはいかないからな。


「沼沢がいるから、中央部から光の壁を越えなきゃですね。恵梨香さんは危ないと思ったら、すぐに光の壁を通り抜けてくださいね」


「む、なんだその『恵梨香さんは弱いんだから無理するな』みたいな言い方は。確かに少年は強くなったかもしれないが、それでも私はまだまだ……」


そんなつもりはなかったのに、恵梨香さんは顔が隠れていても怒っているとわかる素振りを見せた。


そんな恵梨香さんをなだめながら歩いていると……ふと感じた、奇妙な違和感。


沼沢はそれにいち早く気付いていたようで、辺りをキョロキョロと見回していた。


「……お前ら、お喋りはそこまでにしておけ。何かおかしいと思わないか?」


沼沢が言ったように、俺もその奇妙な光景に気付いた。


大量の血痕が残っているのに、死体がない。


復活出来ずに、死んでしまった人達の死体が。