殺戮都市~バベル~

今にも倒れてしまいそうなほどフラフラしていて、こちらに背中を向けている沼沢。


掛ける言葉も見付からず、何も言えないでいると……。


ゆっくりと振り返って、涙を流して充血した目を俺に向けた。


俺は……奈央さんが死んだ時、これほどまでに悲しめたか?


沼沢の涙が、大切な人が死んだ時に出る当然の量だとするなら、俺は人として欠陥があるのかと思わずにはいられなかった。


そしてその直後。


沼沢が振るった拳が、俺の顔面を捉えた。


バキッと派手な音が響いて、鼻に激痛が走るけど……なんとか耐える事が出来る。


「テメェが!!奈央を俺から引き離して、そして見殺しにしたんだ!守れねぇなら、どうして引き離したんだコラァッ!!」


拳に鎖を巻き付けずに、素手で俺を殴り続ける沼沢。


返す言葉が見付からない。


何を言ったところで、沼沢には言い訳にしか聞こえないだろうけど……俺だってやれる事はしたつもりだ。


「奈央さんが……俺の仲間だったからだ!俺は奈央さんを助けた!ずっと守るつもりだった!それはお前と変わらないっ!!」


それをするには力が足りなかった。


そう悔やみながら、俺は握り締めた拳で沼沢の頬を殴った。