殺戮都市~バベル~

少しして……。


「あー、やっぱきつい。僕はパスだわ。力入れると傷口から内臓が飛び出しそうだからさ」


脇腹を押さえてサーベルを下げた菅が、小さく、何度も首を横に振りながらそう言った。


これは……退くという事か?


いや、そう言って油断させておいて、気を抜いた所を攻撃するつもりかもしれない。


……なんせ、二毛が平気でそういう事をする卑怯者だからな。


「あんたがいなくなるまで、信用出来ない」


「なになに?嘘をついてまで、キミを殺したいとか思わないよ?だって、殺してもソウルは増えないんだしさ。割に合わない戦いはしたくないだけだっての」


俺の言葉に、呆れたように答えた菅。


諦めが早いと言うか、引き際を知っていると言うか、ドライだな。


「あーあ、あっさりとキミを殺せたら、もうちょっと遊べたんだろうけどね。とりあえず僕は南軍に戻るよ。でも、次も僕の邪魔をするようなら殺すからね」


ニッと笑ってサーベルの切っ先を俺に向け、菅は光の壁へと引き返して行った。


……襲って来る様子はない。


菅が光の壁を通り抜けるのを確認して……俺はようやく安堵の吐息を漏らした。