殺戮都市~バベル~

人の群れを飛び越えて、地面を着地した俺は、まばらになった人の間をすり抜けるように走った。


恵梨香さんは……まだ空中にいる。


くるりと空中で一回転し、軽やかに地面に着地。


「さて、このまま大通りを突っ切るぞ。吹雪がいるから大丈夫だとは思うが……南軍には食えないやつがいるからな」


再び走り始めた恵梨香さんが、少し不安そうな声を漏らす。


そう言えば……初めて吹雪さんと出会った時に、とんでもなく強いやつと遭遇したとか言ってたな。


話から、てっきり黒井だと思っていたけど、他にも強いやつはいるんだな。


「黒井さんがいなくても、南軍はしばらくは大丈夫って言ってましたからね。確か、菅夏美と月森胡桃って言ってたような」


「その二人には気を付けろ。少年が南軍で出会うなら大丈夫だろうが、万が一西軍で敵として出会ったら、容赦なく殺しに掛かって来るだろうからな」


あ、戦った事があるのかな。


だとしても関係ない。


その二人が俺に襲い掛かって来たとして、俺が引き付けていれば、雪子さん達に被害はないのだから。


「でも、恵梨香さんがそういう事を言うと、本当に起こりそうな気がするんですよね……」