「ふーん、じゃあ、高架下で見たわけね?駐車場がある高架かぁ……南軍だと、一箇所しかないね。ありがと、洗浄が終わったら行ってみるよ」


「い、いえ……こちらこそ、助けてくれてありがとうございます。雨村吹雪さん」


この人が来なかったら、俺は間違いなく殺されて、奈央さんは山口に連れ去られていた。


本来は倒すべき敵なんだろうけど……東軍の連中と違って、全く敵意を感じなかったのは不思議だ。


「吹雪で良いよん。キミ達がもっと強くなったら、また会う事もあるかもね。あ、そうそう。そこにホテルがあったから、洗浄が終わるまで寝てても良いんじゃない?じゃあまたねー」


ブンブンと大きく手を振り、吹雪さんは去って行った。


「……な、何だったんでしょうね、あの吹雪さんって」


「さ、さあ?凄く自由な人だって事はわかったわ」


俺も奈央さんも呆気に取られて、吹雪さんが見えなくなるまで、その背中を見送った。


「なんて、言ってる場合じゃないわね。家まで戻る時間はないし……あの人が言ってたホテルに避難しましょうか」


奈央さんのその言葉に、俺の胸は高鳴った。


死にかけた後でなんだけど……ホ、ホテルって、どのホテルですか!?