殺戮都市~バベル~

「12ブロックだったらここから近い。決まりだな。ほら、ボウズが彼女を運んでやらないと。自分の手で送りたいだろ」


「そ、そうですね……」


理沙との別れが近付いている。


立ち上がって、デパートの入り口へと向かう足取りも重い。


恵梨香さんを助けて、目的を果たした後……俺に残ったのは、好きな人を失った虚しさだけ。


中に入り、理沙が横たわる場所まで三人で歩く。


デパートの中央にあるホール。


長椅子に、眠るように横たわっている理沙を見て……再び俺の胸に、悲しみが到来する。


「香月か……津堂じゃ、こんな潰され方をしないだろうからな。ちょっと待ってな。運ぶにしても、このままじゃ運びにくいだろ」


そう言って名鳥は、二階へと向かった。


「少年……私を助けようとして、この少女は……」


状況だけを見ればそうだけど……決してそうじゃない。


俺が強ければ、香月に殺される事はなくて、理沙が俺を見掛けてデパートの中に入って来ても死ぬ事はなかったんだ。


「俺の弱さが、理沙を殺したんです。恵梨香さんのせいじゃありません」


そこからは何も言わずに、名鳥が戻って来る間、俺は理沙の頬を撫でていた。