殺戮都市~バベル~

街の中央部を越えて南軍に。


総力戦が始まれば、時計回りになら壁を越えられるはずなのに、それを待つのも嫌なんだろうな。


俺とは一時的に手を組んだだけで、塔に向かうというのは黒井には関係のない話だ。


「すみません名鳥さん。だったら一つだけ、俺の頼みを聞いてくれませんか?」


「ん?まあ、内容次第だよね。無茶苦茶な事言われても、返事に困るしさ」


何本目のタバコだろうか。


地面に吸殻を並べて、新しいタバコを取り出すと、それを口にくわえて火を点けた。


「東軍に……守ってくれる人をなくした小さな女の子がいるんです。そして、その面倒を見てくれている子も。その二人を、名鳥さんで面倒見てくれませんか?」


「だからさ、そういうのを無茶苦茶な事って言うんだよね。何?俺がおっさんだから子供一人くらいいてもおかしくないとか思った?」


う……そういうつもりじゃなかったんだけど、なんだか怒らせてしまったみたいだ。


もっと丁寧に経緯を説明してから頼むべきだったかな。


俺の事も助けてくれたし、手を差し伸べてくれるかと思ったけど。










「でもまあ、そういう『人の為に』って頼み事をするやつは嫌いじゃねぇよ。ボウズは南軍なのに、東軍の子の心配してんだろ? 東軍の俺が断るってのは……筋が通らないもんな」