殺戮都市~バベル~

名鳥にしてみれば、俺の行動は予想外だったのか、その表情に初めて動揺が見えた。


切っ先が俺の喉に触れた瞬間、慌てて槍を引いたのだ。


思えばさっきもそうだった。


三人の同時攻撃を防ぐ時も、一切傷付けようとしていなかった。


動きを制する事はしていた、体当たりという、致命傷にならない攻撃はしていたけど。


「武器を下ろしてください。俺は、理沙の為に良い場所を探したいだけです」


俺の動きに合わせて、ゆっくりと後退する名鳥。


「……ボウズ、お前はクレイジーだな。もしも、俺が力を込めてその喉を貫いていたらどうするつもりだ?」


「名鳥さんはそんな事をしないでしょ。そんな人だったら、あの時に俺を助けないで見殺しにしてたと思うから」


ナイトに殺されそうになった時に、勘違いとは言え、彼女に会いに来たんだろうという理由だけで助けてくれたんだ。


それに、狩野と敵対したならともかく、狩野とは協力関係にあるわけだから。


殺すつもりで戦っているとは、とても思えなかった。


「一つだけ教えてくれ。この街にいて、どうしてそこまで人を信じられる?ろくに話した事もない、酒も飲み交わした事もない相手を」