殺戮都市~バベル~

焦りがあるわけでも、気負っているわけでもない。


その堂々と槍を構える姿は、爽やかささえ感じる。


生死を賭けた戦いではなく、一人の男のプライドを懸けて戦っているという風に見えた。


この人なら、俺の気持ちはわかるかもしれない。


そう思って、俺は口を開いた。


「だったら、武器をしまってくれませんか。俺は、理沙の為に埋葬する場所を探さなければならないんです。狩野の為に戦ってるって言うなら、俺の気持ちもわかってくれませんか?」


日本刀から手を放し、ゆっくりと名鳥に近付く。


黒井は驚いたような表情を見せたけど……止めようとはしない。


「……埋葬?この街でそんな事をしようとするなんて、おかしなやつだな。そんなに大切な人が死んだのか?」


槍を構えたまま、引っ込めようとも、攻撃しようともせずに、名鳥は俺に尋ねた。


「俺の……彼女です。名前は中川理沙。東軍にいて、津堂に捕まって……俺は守り切れずに死なせてしまいました」


槍の先端が俺の喉元に突き付けられる。


名鳥が少しでも力を入れて突けば、俺は重傷を負う。


でも、この人は、人の痛みがわかるはずだ。


一か八かのギャンブルじゃない。


この人は、俺達を殺すつもりなんてないと確信して、俺はさらに一歩踏み込んだ。