殺戮都市~バベル~

俺と黒井はピタリと槍を合わせられて、身動きが取れなかった。


俺が動けば穂先か黒井に刺さり、黒井が動けばそのまま穂先に刺さる。


それに気付いて、ほんの一瞬動きが止まったけど、名鳥にしてみればそれで良かったのだろう。


砕かれた腕を、恵梨香さんの腹部に押し当てるように体当たりし、恵梨香さんともつれるようにして地面に倒れた。


そしてすかさず起き上がり、飛び退いて槍を構えのだ。


「ふう……どうにかなったな。腕一本イカれたけど……まあ、どうにかなるっしょ」


「じゅ、順一!た、戦う意味なんてないでしょ!もう止めてよ!」


名鳥が負傷したのを見て、いよいよ狩野が止めに入る。


それでも、名鳥は武器を下ろさない。


「ここで戦わなかったら……敵がいるのにどうして戦わなかったと、津堂や香月に言われるだろ。知っていたとか知らないとか、そんな事じゃない。戦ったという事実があれば……勝ち負けはどうでも良い。それで明ちゃんが守れるなら」


その言葉に衝撃を受けたのは、狩野……だけじゃない。


黒井もまた、意味は違うだろうけれど、名鳥の発言に少なからず驚いていたようだ。