殺戮都市~バベル~

「助かったなら……それで良いです。俺、ちょっと行ってきますね」


興奮気味に話す黒井をそこに置いて、俺はゆっくりと歩き出した。


恵梨香さんだけでも助けられて良かった。


そうさ、それが目的だったから良いんだけど、出来れば理沙も……助けてやりたかったよな。


食品売り場を抜け、デパートの中央にあるホール。


光の粒に変化しない、理沙の遺体が長椅子の上で横たわっている。


「……理沙、終わったよ。約束通り、戻って来たよ」


床に膝を付き、理沙の頬を撫でた。


冷たい……温もりが失われて、まるで死人だ。


「津堂はさ、俺と黒井さんで倒したよ。香月だって俺が倒したんだぜ?どうだ?理沙が心配しなくても良いほど、俺は強くなったんだ」


言えば言うほど……悲しみが胸を締め付ける。


だったら、どうして理沙を守れなかったんだ、どうして……救ってやれなかったんだ。


仇を討ったよと報告したって、理沙が目を覚ますはずがないのに。


ずっと俺を気に掛けてくれていた幼馴染み一人守れない。


強くなったという言葉がやけに虚しく思えて……目から溢れる涙を止める事が出来なかった。


一番守りたかった人を守れなっただけじゃなく、守られて見殺しにしてしまった悔しさで。