殺戮都市~バベル~

指を切断する事は出来なかった……でも、痛みか、攻撃の衝撃か、指が開いて金棒は置き去りに。


俺が待ち望んでいた瞬間が、今、目の前に訪れたのだ!


手から金棒が離れ、消える寸前!


狙いを定めた背中に、日本刀の切っ先が突き刺さった。


香月には、何が起こったかわからないだろう。


でも、俺は手に込める力を緩めるつもりはない!


身体を預けるようにして突き刺した日本刀は、胸を貫いて……鍔まで刺しこまれた。


「がはっ……そんな……バカな」


日本刀から手を放して、後ろに飛び退いた俺は、よろよろとよろめきながら倒れる香月を見下ろした。


どの人間にも言える事だけど……武器を放した瞬間、驚くほど弱くなる。


それしか勝てる手段がなかったというのは、香月がそれだけ強かったという事だ。


怒りと憎しみ……悲しみ。


腹の中を掻き乱すような気持ち悪い感覚に耐えながらしばらく眺めて……香月の身体が、光の粒へと変化して行くのを見て、俺の目から涙がこぼれた。


キラキラと輝いて、空気中に溶けていく光のカケラを見上げて……。


香月が光の粒に変化したのに、理沙の身体は変わらない。


それが悲しくて。