殺戮都市~バベル~

「理沙は何も心配しなくて良いよ。この怪我だってすぐに治せるから」


短剣で背中を刺されて、このままでいるというのはさすがに辛いな。


右手を理沙の背中から、ズボンのポケットに入れて、PBMを取り出した俺は、回復をする為に画面に触れた。


通常回復と瞬間回復……どちらにすべきか。


即死ではなかったといえ、それなりに傷は深い。


激痛が、心臓の動きに合わせて傷口の周囲に走る。


だけど、それを癒してくれるように、身体の前面に理沙の温もりを感じているから。


「本当にごめんね……真治は、私に選択肢を与えてくれたのに……私が東軍に戻るって言ったから……」


「俺が悪かったんだ……理沙を守ってやるって言えなかったから。だから……俺の方こそごめん」


小さな頃から、ずっと俺と一緒にいた理沙。


物心ついた頃から好きで……だけど、その想いを伝える事が出来なくて。


前に会った時に、初めて交わしたキス。


こんなに好きなのに、この街のシステムと自分自身の弱さが、俺達が一緒にいる事を許さなかった。


でも、もうそれもない。


俺は理沙を守る。


そう思って、PBMの画面に触れた時だった。










俺は……理沙に右側に突き飛ばされ、床に倒れてしまったのだ。