殺戮都市~バベル~

理沙が短剣をブンブンと振り回して俺に迫る。


戦いの才能がない……知宏が言った言葉が、身を持って理解出来る。


「やめろ!やめろよ!俺達が戦う理由なんてないだろ!」


日本刀を構えた俺には、その動きは遅くて。


防御するまでもなく、容易に回避する事が出来た。


「真治を殺さなきゃ、私が殺される!もう、あんな事をされるのは嫌だ!!お願い、死んで!!」


完全に恐怖に支配されてしまった理沙に、俺の言葉は届いていない。


ただ、俺を殺そうと、必死に武器を振る。


あの優しい理沙を、ここまで変えてしまうなんて、それほど拷問が辛かったのだろう。


今まで戦った中で、恐らく一番弱い相手。


だけど、一番戦いたくない相手。


そんな中で、俺が取った行動は……。










「理沙!」









日本刀を放し、短剣を振り上げた理沙の前で、腕を広げた。


俺に……理沙を殺す事は出来ない。


迫る理沙に動きを合わせて、懐に飛び込んだ俺は、理沙を受け止めるようにその身体を抱き締めた。


ドンッという衝撃に、日本刀を持っていない俺の身体が弾かれそうになるけど、なんとか踏ん張って。


そして……無防備な俺の背中に、理沙の短剣が刺さった。