「ちょっと!何よその言い方!知宏だってあの子に助けられた事があるでしょ!?」


どうやら仲間がいなくなったって話か。


俺には関係のない話だけど、 どこにもこんなやり取りはあるんだな。


新崎さんや奈央さんも、こんな話をしていたのかなと考えると、少し寂しさを感じる。


俺には……もう、二人はいないから。


「冷静になれよ。考えてみたらおかしいだろ。あの日、どうして俺達は殺されたのに、あの子だけが殺されずに南軍から戻って来る事が出来たのか。きっと何か取り引きがあったんだよ」


「バカじゃないの!?取り引きがあったなら、どうして瀕死になったのよ!あんた、あの子の事になるとムキになってさ!そんなに好きなら探しに行けば良いじゃない!どうせ私はキープでしょ!理沙のおまけなんでしょ!?」











その言葉を聞いた瞬間、俺の心臓がドクンと音を立てた。


理沙?そしてこの男の名前……知宏?


どこかで見た事があると思っていた。


この人達は……南軍で出会った、理沙と一緒にいた人達だ!


もっと話を聞きたいと、窓に近付こうとしたら……。


壁に立て掛けられていたスコップに身体が当たって、それが壁を擦りながら地面に倒れたのだ。