殺戮都市~バベル~

「は、早く逃げてくれよ……なんで戦おうとするんだよ!」


良く見ると、顔に、身体に、大きな斬り傷。


矢も何本か刺さっていて、これで動けているというのが不思議なくらいの傷を負っているのに。


殺されるくらいなら、殺してやると、武器を抜いて俺を睨み付ける。


「ふ、ふざけるな……逃がすつもりなら攻撃するかよ……」


それを言われるとそうなんだけど……。


くそっ!やるしかないのか!


男が退かない。


俺が背中を見せたら、遠慮なく俺に襲い掛かってくるだろう。


日本刀を握り締めて、覚悟も出来ないまま流されて……。


武器を振るう力さえなさそうな男を前に、俺は日本刀を構えた。


来るな……来るな……来るな!


押せば倒れてしまいそうな相手でも、殺すとなると怖い。


どうしてこんな事をしなければならないんだ。


いくら考えたって、殺し合いが終わるわけじゃない。


男が最後の力を振り絞って、剣を俺に向けて突く。


それは、あまりにも遅く、力ない一撃で。


日本刀の刃でそれを横に弾いた俺は、ギュッと目を閉じて、日本刀を振り下ろした。


手に加わる、人の肉の感覚。


その感覚がなくなり、日本刀が完全に振り下ろされた時、無我夢中だったさっきとは違い、はっきりと人を殺したのだと実感した。