殺戮都市~バベル~

俺は津堂じゃない。


だから、武器を振り下ろす時にまで殺気を放たないというのは不可能だと思う。


それでも、黒井には十分通用したようで。


振り下ろした日本刀が、黒井の頭部に迫った時、ようやく事態に気付いたようで、驚いた様子で俺に視線を向けた。


武器での防御も、回避も間に合わない。


完全に捉えたこの攻撃は……。














黒井の額を微かに斬り、動きを止めた。













「……な、何をした?全く見えなかったし感じなかった。気付いたらキミがそこに」


顔を引きつらせ、微動だにせずに俺を見詰める。


「何をしたって……普通に移動しただけですよ。津堂の動きを思い出して、見よう見まねですけどね」


この勝負……大きなハンデをもらったけど、俺の勝ちだ。


いや、勝ちと言えるのかすらわからないけど。


普通に戦っていたら、まず勝てない相手だった事は揺るがない事実。


同じ軍の人間なんだ、殺す必要なんてないからな。


「見よう見まね……だって?俺には殺気を放つ真治君の姿がそこに見えた。だけど……気付いたらここにいた。こんな事が見よう見まねで出来るはずがない。キミは……やはり悪魔か」