殺戮都市~バベル~

「だ、だったら、お、俺が囮になります!俺一人が囮になって、二人を助ければ良いんでしょ!?」


「……冗談だろ?」


俺だってそう思う。


一体何を口走っているんだ俺は。


新崎さんの姿を見て、こうはなりたくないと思ったから。


トラブルから逃げる。


それは生きる上で、不要な争いを回避する大事な事だと思ってた。


だけど……それがカッコいいとは限らない。


ましてや、女性を見捨てるなんて。


震える手で日本刀を握り締め、ドアを開けた。


「いくら星5レアでも、強化されていないならそこらのやつと変わらないんだぞ!」


「だ、だから!お、俺が囮になるんですよ!」


カッコいい、悪いで判断している俺は、子供なんだろう。


この街で生きるには、必要のない感情なんだろう。


でも……俺は転びそうになりながら道路に飛び出して、交差点の方を見た。


そこには、二人の女性がビルに入ろうとしている所だった。


「ま、ま、ま、待て!」


声が震えて、情けない言葉が出る。


それでも、なんとか聞こえたみたいで、足を止めて俺を見る。


ガタガタと震えて、チョンと押されただけで倒れてしまいそうな俺が、こうして立っているのは滑稽だろう。


今までにないくらい、バクバクと心臓が激しく音を立てていた。