日本刀を握り締めて……逃げる!


とにかくここから逃げて、強くなって戻って来るんだ!


「まあ、そうするよな。普通は。だけど、それは大きな間違いだ」


背後から聞こえた津堂の声。


俺の速度では、津堂に追い付かれるかもしれないけど、それでもまともに戦おうとは思えなかった。


悔しくても今は生き延びて、何とか強くなるしかない!


ソウルを使って、負傷ても勝機を見付けようとも思ったけど、PBMを取り出す暇もなかった。


恵梨香さんを助けられたら良いなんて、それすらも思わせてくれないほど力量の差があって、情けない敗走。


これまで、苦しみながらも戦いに勝利して来た俺にとって、気合いや根性では乗り越えられない壁を感じた。


津堂は……追って来ない?


俺なんかは追う価値もないという事か。


それとも、強くなって戻って来ても、負けないという自信があるのだろうか。


どちらにしても、今の俺はここから逃げる事しか考えていなかった。


貴金属店の横を通り過ぎてデパートの入り口。


やっとここから脱出出来ると安心した時……外からデパートに入って来る人影を、俺は見た。