殺戮都市~バベル~

足音が近付いて来る。


どうにかして、この状況から抜け出したいと祈る事しか出来ない。


必要以上に怯えて、感覚が逆に研ぎ澄まされているようだ。


新崎さんがチラリと二階を見て、奈央さんの合図を待っているけど……。


その奈央さんは、慌てたように腕でバツを作ったのだ。


それを見て、俺の方に引き返して来る新崎さん。


「真治君、まずい。早く身を隠すんだ」


「な、何がどうなったんですか?奈央さんがバツって……」


二人がどんな合図を決めているのかは俺にはわからない。


だけど、この様子はただ事じゃないぞ。


「星4レアのやつが来る……俺や奈央ではとても敵わないんだ」


……嘘だろ?


「で、でもさっき、任せろって……」


「状況によるんだよ!隠れる事も戦術だ!」


新崎さんはそう言い、俺の腕を掴んで引き起こした。


膝が震えて、移動もままならないのに。


それでも何とか新崎さんに掴まって歩き、隣のビルの中に入って身を潜めた。


「ここで大丈夫だと思うけど……真治君、動けなければ、この街では生きていけないぞ」


「す、すみません」


好きでこんな街に来たわけじゃないのに。


でも、生きていけないと言われると、これからどうすれば良いのか、本当にわからない。