殺戮都市~バベル~

「……優、でいいのかな?落ち着いて。俺だよ、覚えてないか?」


刺激しないように、落ち着かせるように、ゆっくりと。


「え、えっと……光希と遊んでた人?ち、違うよね……う、うーん。わ、私を助けてくれた人に似てるけど、あの人は南軍だからこんな所にいるわけないし……」


視線をフラフラ泳がせながら、今にも泣き出しそうな表情を受かべて。


でも、覚えていてくれた。


「恵梨香さんと吹雪さんがいないとわからないか?ほら、俺の手首は赤色だろ?」


そう言って、優に手首を見せると……驚いた表情に変わり、さっきまで目に溜めていた涙をポロリとこぼしたのだ。


「う、嘘……ほ、本当に少年?」


震える手を伸ばして、俺の頬を撫でる。


……手を洗っていないのは、この際許すか。


「しょ、少年だ……ずっと、ずっと会いたかったよ!」


そう言って、俺の首に手を回して、グイッと引き寄せた優。


「お、おい……お前、ズボンを上げろよ……」


急に抱きしめられて、今度は俺の方が困惑してしまう。


「だって、だって……少年が助けてくれなかったらどうなってたか……本当にありがとう」


あの時俺は何も出来なかったけど……優がそう思ってるなら良いか。