殺戮都市~バベル~

だけど、恵梨香さんが北軍の人間だと知っているという事は……やはり本当なのか?


「俺達は……バベルの塔に行くんだ。その為の仲間を探してる」


「だから中央部を越えて東軍に入ったか。だが、我々はそんな虚言に惑わされない。新種の化け物に勝てないようなやつらが、塔に入る事など出来るとは思わんからな」


首に当てられた刃物が、さらに強く押し当てられた。


横に引かれたら……間違いなく殺される!


「……だが、言っている事はあの女と同じか。面白い。ならば20ブロックにあるデパートに来い。そこに俺と女はいる」


そう言うと、男は首から刃物を離して、暗闇に溶けるように……気配を消したのだ。


慌てて振り返ってみても……そこに人はいない。


あの殺気も感じる事がなくなり、俺は解放されたのだと、ホッとした。


いや……何を安心しているんだ俺は。


このパターンは、間違いなく今の男と戦って、恵梨香さんを助けろって流れだろ……。


恵梨香さんを捕まえて、気配も足音もなく、闇の中から現れたような男と……どうやって戦えって言うんだよ。


戦っても、勝てるかどうかわからないぞ。