「……ガキ、何してんだ?」


言うより早く、弓長の左手が亜美の頬を張った。


亜美の不意打ち……弓長のよそ見。


この一瞬の隙は、俺にとって絶好のチャンス!


最後の力を振り絞って、起き上がると同時に一歩踏み込んだ俺は……弓長に日本刀を振り下ろした。


完全に虚を突かれた弓長は、防御する事も出来ずに、俺の一撃を食らう。


でも……踏ん張り切れなかったせいか、その攻撃は浅く入ってしまい、殺すには至らなかったのだ。


「ぐ……げほっ!ガ、ガキ共が調子こきやがって……」


よろよろと後退しながら、ポケットからPBMを取り出した弓長。


亜美は頬を張られて、床に倒れているけど……驚いただけみたいだ。


「おい!翼!今すぐ来い!場所は……」


まずい!仲間を呼ぶつもりだ!


ここで呼ばれてしまったら、今、危機を乗り越えても、回復しないうちに次のやつに襲われるかもしれない!


「させるかっ!!」


日本刀を弓長に向けて、倒れるように突き出した。


これが、今の俺に出来る精一杯。


だけどこの攻撃は、弓長のPBMに当たって……そのまま身体を貫いたのだ。