身体は重い……だけど、日本刀を持った時の速度は失われていなかった。


弓長には、何が起こったのかわからなかっただろう。


日本刀を構え直す余裕がなかった俺は、弓長に身体を預けるようにしてぶつかった。


「ぶふっ!」


床に倒れ、背中を強打してようやく声を上げる。


俺は、何とか床を転がり、身体を起こして片膝を付いた。


「ク、クソがっ!一体何をしやがった!」


死にかけだと思っていた男の、予想外の出来事に驚いたか、弓長が慌てて起き上がる。


だけど……どうする俺。


今の体当たりは、想像以上に身体に負担が掛かったようだ。


まだ死にはしないとしても……次、同じ事が出来るかどうか。


こんな事なら、日本刀を突き付けている時に飛び込めば良かったな。


「もう許さねぇ……遊びはここまでだ!ぶっ殺して……」


と、怒りに満ちた表情を俺に向けたその時だった。














横から、弓長の腹部に、金槌が打ち付けられた。


「お兄ちゃんを殺しちゃダメなんだから!」


亜美が……武器を取り出して、弓長にそれを叩き付けたのだ。


だけど……浅い。


ほとんどダメージらしいダメージはないようで、弓長はゆっくりと亜美の方を見た。