殺戮都市~バベル~

「え、でも……」


と、亜美が呟いた時だった。












「香澄ぃぃぃっ!戻ってるか!?」










この建物の中に……誰かが入って来たのだ。


こ、こんな時に!


「あ、弓長のおじさんだ!」


亜美の顔がパアッと明るくなり、声の主を出迎えに走る。


まずい……弓長のおじさんという人物が、どんな人間かはわからない。


まだ完治していないこの身体で、もしも戦闘に発展したら……俺は勝てるのか!?


慌てて部屋を出て、さらに奥の部屋へと移動した。


身を潜め、入口付近から聞こえる声に耳を傾ける。


「弓長のおじさん、いらっしゃい」


「亜美は相変わらず可愛いなぁ。これなら、皆に可愛がってもらえるぞ。ところで香澄はいるか?」


「うん、まだ寝てるけど」


入り口で大声を上げていた時とは印象が少し違う。


物腰が柔らかそうな物言いで、亜美は対しても優しそうな口調。


これなら……出て行っても大丈夫か?


いや、まだ結論を出すのは早い。


しばらく息を潜めて待っていると……こちらに向かって歩いて来る二人の足音。


そして……お姉ちゃんの遺体がある部屋へと入って行ったのだ。