殺戮都市~バベル~

「お姉ちゃんとお話するの?待ってて、起きてるか見てくるから」


俺が返事をする間もなく、医院の奥の方へと駆けて行った亜美。


もしもお姉ちゃんが起きてたら、この体勢じゃ、いざという時に身動きが取れない。


重い身体を無理矢理起こし、長椅子から脚を下ろして壁にもたれた。


少しして、奥の方から亜美がパタパタという足音と共に戻って来たのだ。


「まだ寝てるみたい。疲れてるのかな?お兄ちゃん、こっちに来て」


そう言って、俺の手を掴んで引っ張る。


「え?お姉ちゃんの所に!?寝てるのにそれはまずいって!」


「いいよ、だって弓長のおじさんはいつも入ってるんだから」


……誰だよ、弓長のおじさんって。


でもまあ……こんなにお姉ちゃんと会わせようとしてくれてるんだ。


目覚めた時に、武器を持たずに近くにいれば、敵意はないと思ってくれる……かな?


何事も先手を打たなければと、長椅子から立ち上がり、俺は亜美に手を引かれるままに医院の奥へと歩いた。


連れて来られたのは……小さな部屋。


何かの機械が使われる事もなく置かれた真っ暗な部屋で、誰かがベッドの上で横になっているのが見えた。